菜緒さんはLOST & STAYの元スタッフだ。今はフリーランスのデザイナーとして活動しているが、真司さんから「サイトを作ってほしい」と頼まれたとき、断れなかったと言う。
「ここで働いてたから、伝えたいことはわかってた。深夜に来る人たちの顔を、私は知ってるから」
デザインのコンセプトは「迷い込んだ感じ」。派手にしたくなかった。暗くて、静かで、でも温かい。そういうサイトにしたかったと菜緒さんは言う。
深夜のLOST & STAYで作ったサイト
制作期間は約一週間。毎晩LOST & STAYに来て、FogとDotの隣でMacBookを開いた。「ここで働いてたころの記憶を、そのまま画面に落とし込む感じだった」と菜緒さんは振り返る。
「Fogが眠ってる横で、コーヒー飲みながら作ってたんですよね。深夜のLOST & STAYで、深夜のLOST & STAYのサイトを作ってた」
カラーパレットは深紺とアンバーゴールド。フォントはCormorant Garamondを選んだ。「細くて詩的な感じが、ここの空気に合ってると思って」。
真司さんへの恩返し
菜緒さんがここを辞めたのは2年前のこと。オープン当初から3年間、ここで働いていた。仕事に疲れて一度立ち止まりたかった時期に、真司さんに声をかけてもらった。「あのころ、ここに救われた気がする」と静かに笑った。
今回のサイト制作は、その恩返しでもあった。報酬は「Fog Latteを何杯でも」という約束だったそうだ。
「このサイトを見て、ひとりでも深夜に来てくれたら、それでいいと思ってます」
深夜のLOST & STAYは今夜も静かに扉を開けている。